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スポーツの補強に役立つトレーニング法(2019.4月更新)

 

1.まずは基本種目から

2.ベンチプレスにこだわっていないか

3.腹部のトレーニングをおろそかにしていないか

4.スポーツパフォーマンスと筋肉について

5.鍛えた筋肉をより有効にするために

6.継続は力なり



1.まずは基本種目から
 様々なスポーツで要求される能力には違いはありますが、筋力強化においては、まず全身の筋肉をバランス良く鍛えなければなりません。 腹部、大腿部、背部、胸部など、大筋郡をしっかり鍛えることです。


2.ベンチプレスにこだわっていないか
 上体のトレーニングと言えば“ベンチプレス”とイメージするように、挙上記録も分かりやすいし、見た目の豪快さもあってかベンチプレスばか り行っている選手も見受けられます。しかし実際スポーツの局面においては、ベンチプレスで作用する胸筋より拮抗筋である背筋郡 の方が作用する場合も多いのです。

 ゴルフやバッティング等のスイング動作や柔道の引手など、背部の筋力が重要なスポーツは多数あります。 自分が行っているスポーツはどの筋肉が重要であるのかをしっかり把握して鍛える事も必要です。
  

3.腹部のトレーニングをおろそかにしていないか
 パワーを必要とするスポーツにおいて、腹筋も重要な個所です。過剰に筋肥大させるとスポーツパフォーマンスに悪影響を及ぼす個所もあるようですが、腹筋力が弱いがためにせっかく鍛えた他の筋肉と協調させる事が出来ずにスポーツに生かせない場合の方が多いのです。いわゆる“ビッグスリー”と呼ばれるスクワット、デッドリフト、ベンチプレスをしっかりと行えば腹筋も強化されるので「腹部のトレーニングは要らない」と言う見方もありますが、私個人の考えではやはり腹部の筋トレもしっかりやったほうが良いと思います。

 腹筋を強くすると言っても、シットアップを毎日100回、200回やれば良いと言うものではありません。やはり筋力トレーニングの基本である負荷を掛けることが重要となります。

 

 殆どの腹筋強化種目では、20回程度しか出来ない負荷を掛け、それを4セットしっかり行えるようにする事です。回数を多くするやり方は、筋持久力には効果がありますが、腹筋力の強化には適していません。しっかりトレーニングすれば休養が必要なので毎日行う必要はありません、2~3日毎で十分効果があります。

 腹部の筋郡は上体と下体の“つなぎ”の役目を果たすのでそこが弱いと上体と下体を連動させることが出来ません。また、腹圧が弱いと“ふんばり”が効かずパワフルな動きも出来ません。そして、言うまでも無いことですが、腹筋を強化すると腰痛予防にもなります。
  

4.スポーツパフォーマンスと筋肉について

 筋力トレーニングを実践し、筋力アップしたにもかかわらずそれをスポーツパフォーマンスに生かしきれない話を耳にすることがあります。曰く、「体が重たい」「スピードが落ちた」「フォームが崩れた」等々、筋トレがまるで悪者扱いされるような印象を受ける事さえあります。
  
 この問題でまず考えるべきことは、「筋力トレーニングは万能ではない」と言うことです。筋力トレーニングの目的の第一義は筋肉をひたすら強く、太くする事にあります。もちろん広義においては、筋持久力やスピードアップ、パワーの強化など色々ありますが、多くの選手がスポーツの補強に筋トレを導入しようとする時、先ず筋肉や筋力を付けようとする筈です。

 スポーツパフォーマンス向上の為には、自分の体をいかに合理的に動かすことが出来るかにかかっています。それゆえベンチプレスやスクワットのような個々の筋肉を鍛えるトレーニングではスポーツパフォーマンスに必要な運動神経の向上までは効果がありません。ここをしっかり押さえておく必要があります。

 

 個々のスポーツに必要な要素は多数あるので、筋力トレーニングはその中の一つに過ぎないのです。

  

5.鍛えた筋肉をより有効にするために
 スポーツパフォーマンス向上に当たり、当然しっかりした技術習得が第一です。その過程において自然に自分に不足している要素が見えて来る筈です。

 筋力以外の要素が足らないのであればそのためのトレーニングも必要になります。(筋力以外の要素が劣っているのなら、今の能力は劣っているレベルと同一になります。つまり筋力は強くなってもスポーツパフォーマンスの向上とは結びつかない事になります。)一言で言えば、“全身の筋肉の連動性を高める”トレーニングも必要と言えます。

 例えば、パワーを強化しようと思うならハイクリーンや、ハイスナッチ、プルアップ等のリフティング種目が有効ですし、ボックスジャンプに代表されるプライオメトリックトレーニングも効果があります。

 

 また“動きづくり”に有効な方法としては、おのおの自分が行っているスポーツの技術練習が一番なのですが、スピード、敏捷性、動作の素早さを向上させるSAQトレーニングと呼ばれるトレーニング法もあります。


 私は体つくりに励む若い選手達に、「技術練習の際には筋力アップしたことを忘れて練習しなさい」と口を酸っぱくして言います。正しいウエイト・トレーニングを実践すると間違いなしに三ヶ月~半年後には筋力アップしますが、逆にそれが力みとなってしなやかな動きができなくなることを恐れるからです。

 “肉体改造”と言う言葉が流行りだしたころ、ある有名プロ野球選手がパーソナル・トレーナーの下筋力アップを果たせたものの、いざ試合になると力みすぎて三振の山を築いたことがあります。力に“緩急”をつけたり力を“抜く”ことを覚えないとプロのスポーツ選手ですらこのようなことが起こります。

 

 ウエイト・トレーニングの肉体改造とは車で例えると排気量を大きくするようなものです。

 

 排気量が大きくなると、それだけ余裕の運転が出来ます、その余裕を生かすも殺すも神経との連動性=縦横無尽に体を上手く使いこなす能力があってこその肉体改造なのです。

 筋力はスポーツ選手にとって大事な要素の一つですが、技術面と肉体面それに精神面の三者がかみ合って始めてスポーツパフォーマンスに生かされると言うことを忘れてはなりません。



6.継続は力なり
 様々なトレーニング法が紹介される中、一番大切な事は“継続”です。 


 オフとシーズンがはっきり分れているスポーツを例に取ると、オフ期では筋トレをしっかりやるものの、シーズンに入ると全くやらない選手がいるのはどう言うことなのか?筋肉は鍛えれば太くなりますがやめれば元に戻ります。この基本中の基本が分っているのかな?と思いたくなります。

 スポーツパフォーマンス向上のために筋肉のみを太くするのは間違いだとする見方については、確かにその通りです。ボディビルの選手は早くも走れませんし高くも跳べません。しかしそれは目的が違うだけの話です。パワーを必要とする競技において筋力強化は必要不可欠なのです。

 

 



 

1.まずは基本書目から
2.ベンチプレスに
3.腹部のトレーニングを
4.スポーツパフォーマンスと
5.鍛えた筋肉を
6.継続は力なり
ヘビーベンチプレス
スポーツトレーニング
スクワットの補助
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